今年の春、トレーニング中の歯の食いしばりが原因で、歯が少し割れてしまいました。
治療が終わり、再発防止のため歯医者でマウスピースを作ることになり、価格を聞いてビックリしました。
僕が想像していたより、はるかに安かったんです。
一方で、スポーツ用の商品として販売されているマウスピースを見ると、もっと高い価格の物もあります。
歯を割って気づいた。同じ商品でも、誰に届けるかで「感じる価値」は変わる。
僕は普段、ジムに通っています。
その中でハードなトレーニングをすることもあります。
重い重量を扱うとき、無意識にやってしまうのが、歯の食いしばり。
自分ではそれほど力を入れているつもりはなくても、トレーニングに集中すると、思い切り歯を食いしばっている。
そして今年の春、それが原因で歯が少し割れてしまいました。
そこから治療が始まり、ようやく最近になって治りました。
ただ、歯が治ったからといって、今までと同じようにトレーニングをしていたら、また歯が割れるかもしれません。
一度経験しているからこそ、さすがに怖い。
そこで歯医者さんに聞きました。
「トレーニングするとき、マウスピースをつけたほうがいいですか?」
この質問から、今回の話が始まりました。
マウスピースの名前を変えると単価が上がる?
先生に相談すると、会話が広がりこんな話になりました。
「売られているマウスピースって、元々は歯ぎしりを防止するための道具なんですよ」
さらに、先生は一般的なマウスピースの話として、こう続けました。
「名前を変えることによって、単価が上がるんです」
それを聞いた瞬間、僕は思わず言いました。
「それ、マーケティングですね!」
歯ぎしりを防ぐための道具として販売する。
一方で、スポーツ中の食いしばりや衝撃から歯を守る道具として販売する。
商品としては、どちらも歯に装着するマウスピースです。
しかし、
「睡眠中の歯ぎしりを防ぐための物」
と聞くのと、
「ハードなトレーニングから歯を守るための物」
と聞くのとでは、受け取る印象が変わります。
必要とする人も違います。
使う場面も違います。
そして、感じる価値も違います。
さらに驚いたのが、価格。
その歯医者で実際にマウスピースを作ることにして、
価格を聞き、ビックリしました。
僕が想像していたより、はるかに安かったんです。
「歯医者で自分の歯に合わせて作るのだから、それなりの金額がかかるだろう」
そう思っていました。
でも、実際には驚くほど安かった。
一方で、スポーツ用の商品として販売されているマウスピースを見ると、もっと高い価格の物もあります。
もちろん、素材や厚み、製造方法、調整の有無などが違うため、すべてが同じ商品とは限りません。
ただ、それを差し引いても、
誰に、何として売るかによって、お客さんが感じる価値は変わる
という話は、とても面白いと感じました。
価格は、商品の中身だけで決まるわけではない
僕たちは商品の価格を考えるとき、原価や制作時間を基準にしがちです。
原価がこれくらいかかった。
完成までに何時間かかった。
この技術を身につけるまでに、何年かかった。
だから、これくらいの価格にしよう。
もちろん、それも必要な考え方です。
しかし、お客さんは、売り手が使った時間だけを見て価格を判断しているわけではありません。
その商品が、自分にとってどれだけ必要なのか。
その問題を放置したら、何が起きるのか。
その商品によって、どんな不安や損失を避けられるのか。
そうした要素を含めて、価格を判断します。
僕の場合もそうでした。
もし歯が割れた経験がなければ、トレーニング用のマウスピースをそれほど必要だとは思わなかったかもしれません。
でも、実際に歯が割れ、時間をかけて治療しました。
だから今は、
「また歯が割れるかもしれない」
という問題が現実になっています。
僕が欲しいのは、単なるマウスピースではありません。
安心してトレーニングするために、歯を守る手段です。
商品が同じように見えても、購入する人が置かれている状況によって、感じる価値は変わります。
変わったのは商品ではなく、商品の意味
歯ぎしり防止用のマウスピース。
トレーニング中の食いしばりから歯を守るマウスピース。
形だけを見れば、よく似ています。
しかし、商品が持っている意味は違います。
前者は、睡眠中に歯を守るための物。
後者は、スポーツやトレーニング中に歯を守るための物。
誰に売るのか。
どんな場面で使うのか。
どんな問題を避けるのか。
ここが変われば、同じような商品でも、お客さんが感じる価値は変わります。
これがマーケティングの面白いところだと思います。
無理やり高く売るのではありません。
言葉だけを変えて、高価に見せるわけでもありません。
その商品が持っている別の価値を見つけ、必要としている人に届く形へ変える。
その結果として、価格の基準も変わります。
あなたの商品も、売る相手を変えたらどうなるか
これは、マウスピースに限った話ではありません。
たとえば、同じ文章添削でも、
「文章を読みやすく直します」
と売る場合と、
「書類選考を受ける人の職務経歴書を添削します」
と売る場合では、必要とする人が違います。
同じ相談サービスでも、
「60分、何でも相談できます」
と売る場合と、
「次の商品を決められない個人事業主が、商品候補を一つに絞るための相談」
と売る場合では、感じる価値が変わります。
実際に提供する行為が似ていたとしても、ここまで具体的にすると、商品が持つ意味が変わります。
今の商品が売れないからといって、商品そのものに価値がないとは限りません。
売る相手や、価値の伝え方が合っていない可能性もあります。
だから、商品を作り直したり、価格を下げたりする前に、一度考えてみてほしいです。
あなたの商品は、今とは違う誰かの問題を解決できないか。
別の場面で使えば、もっと大きな価値を生み出せないか。
別の言葉で表現すれば、本当に必要としている人へ届かないか。
同じ商品でも、マーケティングによって価値の見え方は変わる。
歯医者でマウスピースを作ることになり、その価格の安さに驚いたことで、改めてその面白さに気づきました。
あなたがすでに持っている商品や経験にも、まだ見つけていない使い道があるかもしれません。
自分の経験が、誰のどんな問題に役立つのかを整理したい方へ。
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